?
福島原発事故 放射線予測計算所
福島原発事故放射線量予測計算所
国民を守れ!命を守れ!そのことが伝わらない日本は管理国家である。
早いもので、東日本大震災から1年の月日が経とうといます。そして地震・津波の被害はもちろんですが、特に原子力災害がとてつもなく大きな負担となって日本全土に覆いかぶさっています。
文科省が発表した航空機からのモニタリング調査(図1)が明らかになるにつれ、放出された放射性物質は西は長野から北は岩手まで全国規模で広がっていることが分かってきました。
それによって福島原発事故の影響はチェルノブイリ原発事故とほとんど同レベルと言ってもいいものであり私達日本人が将来直面するであろう事故の環境被害を推察することができるようになりました。このサイトでは文科省や東電等の諸機関が発表しているデータを集約し、
世間になるだけ分かりやすくアナウンスすることを目的としています。毎日さなざまな形で発表されているSV(シーベルト)やBq/kg(ベクレル)Bq/m^2等の数字をどのように理解し考える必要があるのか、さまざまな知見と独自の調査・考察から理論的に明らかにします。
それとともに国全体で行われつつある隠蔽を明らかにし、日本国民の健康被害の低減を目指します。
このサイトで特に伝えたいことは次の3点です。
@福島原発事故の放射能の放出量はすでに発表があっている部分だけもチェルノブイリ事故の半分に相当するものであり報道されている環境被害予測や健康被害予測は楽観的すぎるということ。
A内部被曝の恐ろしさが国民に正しく伝わっていない。食物による内部被曝の危険性は評価方法が間違っているために過小評価され過ぎていること。特に放射線被曝を推定するときの「実効線量係数」というでたらめを激しく告発し、食物汚染と内部被曝の危険性を周知すること。
B放射能に汚染された震災瓦礫をいくつかの地方自治体が受け入れる機運が出ているが、8000Bq/kgまで安全という国の指針は全く理解不能の危険極まりない数字であり、この数字を安全の根拠とするは愚策と言わざる得ない。汚染瓦礫を焼却するなどして大気中に一度拡散されれば住民の吸引内部被曝の危険性が大であるし、放射能が高くなった灰の処理方法さえ未定である。
8000Bq/kgのがれきを床に敷き詰めると、地上1mで1.73μSV/hの線量。これは年間で15mSV/年という高汚染地域に匹敵する。国の絆や愛国の名のもとに行われようとしているがれき受け入れ運動は全国放射能汚染運動というべきもので、そのような行為は断じて許されないものであり、絶対反対。
1.放出された放射能の全体の多さについて
冷温停止状態が形式的に宣言され1つの区切りをつけた福島第一原発事故ですが、今でも原子炉から放射性物質は放出され続けています。
東電が試算した放射性物質の漏洩は現在事故後の1300万分の1にまで下がっているといわれています(表1-1)。このグラフデータから今まで放出された
放射能の量を試算することができます。(東電発表のデータを指数関数で近似し、積分する。)
それによると3/15〜24までの10日間に放出された放射能の量を1とすると、3/25日以降の放出量は1%程度であり
2011年11/15〜12/15の1ヶ月間に限って言えば3/15〜24までの10日間の放射能の量の77万分の1程度にまで下がっています(表1-2)。この数字から見ると
初期の段階に比べれば大気中への漏洩はほぼ止まっている言ってもいいかもしれません。ところがその量も決して少ない数字ではありません。
1-1
1-2
東電の発表したグラフから大気中への放射性Csの放出量を数学的に計算すると
全体で3.4×10^16Bq(3万4000TBq)と試算できます。
最近の1時間あたり0.6億Bq(2011年11/15〜12/15)という大気中の放出は1ヶ月間では24×30倍の432億Bq(4.32×10^10Bq)です。
この放射能が地上に降り注ぐと除染が必要な0.2μSV/h(4万2000Bq/m^2)の汚染地帯が87万m^2(932m四方約1平方km)増えることになり、
決して無視していいわけではなくしろ深刻な事態には変わりありません。
大気中の漏洩だけでなく、大量の汚染水(発表されている最低量でも80万TBq)の海洋への漏洩も懸念される事態は変わっていません。
原子炉の冷却すら先が見えなく、ましてや住民の帰途など全く目処も立たない展開であるのに事故が収束したというのは対外的なパフォーマンス以外の何ものでもありません。
では事故で放出された放射能はどのくらいの量になるのでしょうか?このサイトを見ている人は関心や知識がある人であろうと思いますから
改めて説明する必要もないかもしれません。
国の出先機関である原子力保安院や原子力委員会発表の発表での放射能の放出量は時が経つにつれどんどん大きくなって変わっていますが、
ヨウ素換算で85万T〜100万TBq(テラは12乗、8.5×10^17〜1.0×10^18)Bq以上の放射能が大気中に放出されたと
推定しています。このヨウ素換算の85万TBqの数字は実感しづらい数字だと思います。表1-3を見るように放出された放射性物質は
ヨウ素以外にもたくさんの核種があります。主なものだけでもCs-134,Cs-137、Sr-89、Sr-90,Pu,Xe-133などがあります。
1-3
このようにさまざまな核種の影響を半減期や崩壊の種類、人体への影響などからヨウ素の影響に変えたものがヨウ素換算の数字で極めて相対的な数字です。
例えばCs-134のBq数をヨウ素換算に直すには×3をし、Cs-137のそれをヨウ素換算に直すには×40を施します。
次に放出ベクレル数ですが、事故直後の土壌サンプリングのデータからI-131、Cs-134、Cs-137がどれだけの比で土壌に定着したかを調べると、放出ベクレル数の比を半減期から逆算してほとんど正確に求めることができます。
その計算ではI-131:Cs-134:Cs-137=12〜20(方角による):0.87:1です。
表1-3ではその評価を反映しています。それぞれI-131が30万TBq、Cs-134が1.8万TBq、Cs-137が2万TBqと推定しました。
なぜこの数字を採用したかというと、めまぐるしく変わる国の放出推定数の中で私達が知っている最大の数字が2011.6/6保安院発表のCs-134が1.8万TBqが最大で、それに土壌サンプルデータの比を当てはめたものです。
ヨウ素換算ではI-131:Cs-134:Cs-137=20万TBq:5.4万TBq:80万TBqとなりこの3核種だけで計105.4万TBqです。
当初国の諸機関はチェルノブイリ事故(520万TBq)の1/10程度と過小評価してアナウンスしていましたが、もはやこの大気中の放出量だけでもチェルノブイリの20%を越えています。(その他にも広島型原爆の100発分以上とかの表現)
発表された分だけでもすさまじい環境汚染が狭い日本の国土を襲ったことが分かります。
ましてや福島原発事故の放射能の拡散は他にも海洋への放出があります。
東電発表では海洋へ流失した高濃度汚染水は全体で4700TBqとなっていますが、外国の諸機関の推定は桁が違うものです。
フランスの研究機関である仏放射線防護研究所の発表ではCs-137だけで、2万7000TBq(ヨウ素換算108万TBq)となりそれにCs-134(23500TBq、ヨウ素換算7万TBq)を合わせるとCsだけで
120万TBqの海洋流失があったことになります。こうして大気放出(105万T)、海洋流失(Csだけで120万TBq)、汚染水(最低でも80万TBqおそらく0が一つ足りないくらいではないか)
を合わせると300万TBqを超えてしまいもはやチェルノブイリとそこまで変わりません。
1-4
チェルノブイリ事故と福島第一原発事故との放射能放出量をヨウ素換算で比較したもの。
ただし、ヨウ素換算という数字自体極めて相対的な値である。
2.これからの放射線の予測について(どのようにして放出Bq比を確定したか。)
放射線量の予測をするのには各核種の放出割合を正確に求めることが必要ですが、文科省や東電といった諸機関が測定している地上放射線量や土壌モニタリングの測定結果から事故でどのような放射能がどのような割合で放出したかを半減期から逆算して推定することができます。
文科省のデータでは原発周辺の土壌からI-131,Cs-134、Cs-137、Te-129m(テルル)、Ag-110m(銀)といった核種が測定されており、後からPu(プルトニウム)やSr(ストロンチウム)-89、Sr-90のように内部被曝すると重大な影響を与える核種も発見されました。
土壌サンプルデータを細かく分析すると原発事故による放出ベクレル比は原発からの方角によって微妙に違うことが分かります。
これは原発事故が1号機(3/12 15:36)→3号機(3/14 11:01)→2号機,4号機(3/15 6:00〜6:10)と爆発し、
それぞれ違う汚染源から広まったためと考えられます。土壌サンプリングのデータを見る限りでは南方向のヨウ素とテルルの放出割合が他の方向に比べて際立って高いことが分かります。数々の専門家が推測しているように北方向は主に1号機の爆発により汚染された可能性が高く、北〜西方向は2号機、南方向は3号機の影響を受けたと推察されます。
2-1
放出された放射能はさまざまな核種がありますが、I-131,Cs-134,Cs-137以外は放出Bqはそこまで多くなく、かつ外部被曝は主にγ線崩壊を考えればいいので、外部被曝線量を考えるときは一般にI-131,Cs-134,Cs-137の3核種のみを考えて評価します。
Cs-134:Cs-137の放出Bqの比は0.87:1でありこれはどの方向でも一定です。
次にヨウ素ですが土壌モニタリング調査からの逆算値よりは2倍〜5倍ほど高く設定しました。
これは放射線量の実測値との一致性によりそうしたわけですが、おそらく揮発性の高いI-131は土壌だけでなく空気中にも相当漂い空間線量を押し上げていたためと考えられます。(希ガスのXe-133の影響も危惧される。)
土壌中に少なくともベクレル比でCs-137の10倍以上が沈着していますが、実際に観測された放射線量と予想グラフがぴったり合うためには、I-131放出割合はCs-137の30倍ほどを評価する必要があります。
事故後吸引によるI-131の甲状腺被曝が問題になっているのはそのためです。
事故後主にI-131(Xe-133等の影響も考えられるβ崩壊T=5.2日)の影響で高い放射線量を記録していた値は半減期8日の短さから急速に減衰します。しかしCs-134とCs-137の線量はほとんど減衰せず、事故後2ヶ月も経つと少しずつしか減衰していきません。
2-2
2-3
2-4
上のグラフは放射能に汚染された土地の空間線量の推移を比で表したものです。5年も経つとCs-134(T=2.1年)からの放射能は大分減りますが、半減期30年のCs-137からの放射能はほとんど減らず、事故後1年後に1.5μSV/hの地点では事故後3年後にしか、現在避難の目安である1μSV/h(年8.76mSV/年,屋内への遮蔽を考慮すれば3.5mSV/年)を下回らないことになります。この予測は放出された放射能全量が現在の地上に定着し続ける(地上の放射能は拡散しない)という仮定に基づいています。実際には雨や風によって汚染物質が拡散して、川や海に流れ込み薄まることも考えられます。文科省が航空機による放射線量調査をしていますが、
7月から11月までの4ヶ月間で測定地点の線量が平均して11%downしました。上でも説明したように放射線量は時間と共に減衰しますがその割合は文科省の発表では9.2%です。残りの1.8%は雨による拡散減衰と推定しています。この結果からおおよそ1年間で平均1.8%×3=5.4%(より正確には1-(98.2/100)^3=5.3%)の雨による線量の拡散があるのではと推察されるわけです。
等サイトでも独自に20km圏内の測定データ50ポイント(東電発表)を調べることで、雨による拡散率を計測しました。
それによると10ヶ月で8%〜12%の雨風による拡散があるのではないかと推察できました。
今で考えてきたように、1年間の拡散率を考えると、長期の放射線量予測は拡散率を考えないものに比べて大分違うものになります。拡散率を0%、5%、10%の3パターンで考えてみます。
2-5
2-6
注!・・・文科省データの放射線物質の雨等による拡散が4ヶ月で平均で1.8%だったというのは全地点でそうなるわけではありません。
雨どいや側溝などに代表されるように雨やちりがあつまる場所は逆に汚染物質が蓄積され、線量がかえって高くなる地点も出ているのはご承知の方も多いと思います。汚染物質が結局は地下水や川、海に流れこんでいくという事実は水産業にとって致命的なダメージを与える深刻な問題です。
3.放出された放射能核種の量について
報道等でBqという単位が出てきます。1Bqの放射能といったら、そこに1秒間に1個崩壊する放射性物質があるということを意味し、ある土壌のCs-137が1Bq/kgといえばその土壌1kg中からCs-137の崩壊が1秒間に1回あり放射線を出しているというということです。
ここで、土壌の汚染度を表すCsのBq/kgと空間線量を表すμSV/hの相関関係を載せておきます。この相関関係は崩壊エネルギーの違うCs-134とCs-137の比が時間ともに変わっていくため、すこしづつ変わっていきますが何かと数値を理解するのに必要ですので参考にしてください。
1000万Bq/m^2→約30μSV/h
300万Bq/m^2→約10μSV/h
30万Bq/m^2→1μSV/h
3万Bq/m^2→0.15μSV/h
0Bq/m^2 →0.05μSV/h
またBq/kgをBq/m^2に変えたい場合は65倍します。
今日本全国で放射能瓦礫の受け入れをどうするか大問題になっています。国が示している瓦礫の基準は8000Bq/kg以下なら問題ないとするものです。
ここで8000Bq/kgは65倍して52万Bq/m^2です。この数字を線量に換算すると1.73μSV/hになります。この数字は1年間で15mSVの線量であり、事故前の一般的な自然放射線量0.05μSV/hの30倍以上の高線量地域に匹敵します。とても安全と呼べるものではありません。
2011年原子力安全保安院が福島原発事故により放出された放射能核種のデータを元にして、それぞれの核種の放出重量を半減期と原子量から計算することができます。
保安院の放出データは少なくともI、Cs、Srの比が限りなく出ている土壌サンプルデータとだいぶ乖離しています。乖離していると言っても事故の実態を正確に分かるはずもないので、誤差の範囲内とは思いますが、土壌サンプルデータなどこれまで出てきた放出比を参考にしながら
より正確な値に調整します。(基準はCs-134の1.8万テラBqにしました。公の日本の機関が発表した放出量の数字で一番放出量が多くなるから)
3-1
事故で放出された放射能は事故直後大問題になったI-131ですら、たった65g程度しかありません。
いかに微量でも放射性物質が恐ろしくやっかいなものか分かると思います。
半減期の長いPuは全体で2.2g程度です。他にも内部被曝がやっかいなSr-89は0.7g、Sr-90は10g程度と推定できます。
放出された放射能物質は8259gでそのうち大部分を占めるのはCs-137の6212g、Cs-134の382g、そしてXe-133(キセノン)の1575gでこの3核種だけで全体の99%を占めます。
次に多いのがI-131が65g、Sr-90が10gですからここまでで全体の99.8%を占めます。
3-2
T.事故で放出された放射能がもっている崩壊エネルギー量をグラフ化したのが3-3です。
この崩壊エネルギー総量の変化はα線、β線、γ線すべての線種が含まれています。これを見るといかに事故直後の放射線量のエネルギーが際立って高いか分かると思います。
際立って高い理由はXe-133のためです。Xe-133の崩壊エネルギーは事故後5日目までは全体の90%以上を占めます。20日経っても全体のエネルギーの70%を占めます。
Xe-133は希ガスであり、体には全く残留せず、反応性もないため原子炉から放出されてもすみやかに周りの空気と混ざって薄まるといわれています。
またβ崩壊のため被曝が問題となるのは皮膚表面の外部被曝と吸い込んだときの内部被曝のみです。
しかしXe-133の崩壊エネルギーは非常に高いため、Xe-133による被曝を完全に無視していいかどうかは疑問に思います。
1500g以上が放出され短期間に一気に崩壊したことを考えると、住民は無視できない被曝をしたのではないかと思います。
3-3
Xe-133のベータ線被曝についての知識がほとんど存在しませんが、無視できない影響があったと私達は考えます。事故直後の混乱期の中で国民に十分な情報が伝わらず、避難がほとんどできず多くの人が大量の被曝にさらされた事実はまことに罪深いと言わねばなりません。
U.2011年6/6発表の保安院の発表を元にすると放出された放射能は8kgを超えるものです。これらの核種は時間とともにどのように減少していくのか表したのが次のグラフです。
3-2
見て分かるように重量比で中心になって残留するのはCs-137であり、半減期は30年ですから
100年単位のすさまじい時間をかけて減衰していくことになります。
放出重量が少ないCs-137に比べれば少ないPuやSrの減衰のグラフも載せました。
3-4
注・・・重量比が少ないからといって、当然その核種を無視していいことには全くなりません。
Puは全体で2.2g程度と計算できますが、半減期は最長で24000年とほとんど永久になくならないですし、呼吸で一度体内に入ればすさまじい毒性があります。
これは特にSr-90でも深刻です。Sr-90は重量比でCs-137の450分の1程度(保安院発表をうのみにすると200分の1)ですが、体内半減期50年、放射能半減期29.1年という極めてやっかいな性質のため
経口摂取により世代を超えて日本人の人体に蓄積される危険性があります。
(後述します。)
4.内部被曝の恐ろしさ
食物や吸引で人体に取り込んでしまう内部被曝の恐ろしさは、ほとんど本質が国民に伝わっていないと感じます。
内部被曝の恐ろしさは外部被曝とは全く次元の違うものです。
以前テレビの解説で信じられないことを言っていたのを聞いたことがあります。
1日1Bqの食べ物を摂取し、それが吸収されたとき、1年で体が影響を受ける放射能は1Bq×365=365Bqだというのです。
これは外部被曝の場合の考え方を内部被曝によく分からないまま当てはめて解説しており、重大な間違いをしています。
外部被曝の場合は放射線を発する放射能が体の外にあるため、その放射能から遮蔽をするなり、距離をおくなりして被曝を低減することがある程度できますが、
内部被曝の場合は放射能は人体の内部にあるので、逃げることも低減することもできません。
摂取した放射能が体から排泄されない限りその物質は放射線を出し続けるということが外部被曝と。全く違い何より体内への蓄積という恐ろしい現象が起こるのも内部被曝の。
4-1
例を挙げます。Sr-90の放射能半減期(物理的半減期)は29.1年、体内半減期(生理的半減期)は50年もあります。
このような核種はいったん体に取り込まれると長い間体の中で放射線を出し続けます。
ある人がSr-90を1日1Bq摂取し、それが体に吸収されるとします。
そうすると1日目にはこの人の体の中には1BqのSr-90が存在します。
2日目の状態を考えます。Sr-90は半減期29.1年で体からもほとんど排泄されませんからほとんどそのまま残ります。
そのため1日目に摂取したSr-90の1Bqは引き続き1Bqの放射能を出し続けます。
そこに2日目の定期的なSr-90の摂取1Bqがプラスされて体にあるSr-90は2Bqになります。
3日目は1日目、2日目に取ったSr-90の2Bqに加え3日目のSr-90を1Bqまたプラスされて体に蓄積されたSp-90は3Bqになります。
このように内部被曝の場合は体に放射能が累積され、たとえ一日あたりの摂取量が微量に
感じても長い時間の間で体の中に濃縮する危険が高いのです。
4-2
実際にはSr-90の物理的半減期29.1年、体内半減期50年で計算すると一日1Bq摂取し続けると30年後に4400Bq近くまで体にたまることが示されます。
以下体内被曝による体内濃縮の様子を代表的な核種で説明します。
以下のグラフは体内に取り込まれてから放射能半減期、体内半減期を考慮しており
また摂取量も放射能半減期と共に減少するとしています。例えばI-131では1日目に1Bq摂取しますが、放射能半減期が8日なので、8日目には摂取量は0.5Bqになり、16日目は0.25Bqになると計算しています。
最初にI-131の体内蓄積量です。
放射能半減期T=8日、体内半減期S=80日(甲状腺をモデル、甲状腺以外は16日)
1日目に1Bqを摂取し、その後摂取量は放射能半減期と共に減少。
11日目に4.43Bqで最大となり、その後減少40日後には1.16Bq、80日後には0.06Bqとなる。
Sr-89の体内蓄積量
放射能半減期T=50日、体内半減期S=50年
1日目に1Bqを摂取し、その後摂取量は放射能半減期と共に減少(50日後に0.5Bq)。
72日後27Bqで最大となり、その後は比較的早く減少する。150日後19Bq、240日8.7Bq、400日後1.57Bq
4-3
Cs-134の体内蓄積量。
放射能半減期T=2.1年、体内半減期S=100日
1日目に1Bqを摂取し、その後摂取量は放射能半減期と共に減少(2年後には0.5Bq)。
300日後96.7Bqで最大となり、その後緩やかに減少する。1000日後58.6Bq、1500日後37.3Bq、2000日後23.7Bq
Cs-137の体内蓄積量
放射能半減期T=30年、体内半減期S=100日
1日目に1Bqを摂取し、その後摂取量は放射能半減期と共に減少(30年後に0.5Bq)。
600日目に137Bqで最大となり、その後ゆっくりと減少する。1000日後135.8Bq、1500日後131.7Bq、2000日後127.6Bq
4-4
Sr-90の体内蓄積量はPuと同じく桁外れなものです。
Sr-90の体内蓄積量
放射能半減期T=29.1年、体内半減期S=50年
1日目に1Bqを摂取し、その後摂取量は放射能半減期と共に減少(29年後に0.5Bq)。
12000日後(33年後)に4400Bqで最大となり、その後極めてゆっくりと減少する。30000日後(82年後)も2500Bq程度にしか下がらない。
4-5
Sr-90の危険性がCs-137よりはるかにあると言われています。これは一つには濃縮の度合いが関係しています。
最大蓄積量だけをみた単純な比較でも4400/137=32倍の危険性があるのです。
Sr-90やPuのような長半減期核種のやっかいさは蓄積の度合いが極めて強いこととがありますが
もうひとつは一旦取り込んでしまうとほとんど排出が期待できないという、不可逆的な進行の存在があります。この不可逆的な進行が世代を超えて住民全体の遺伝子にダメージを残していきます。
例えばCs-137は最終的に一日の摂取量の100倍以上が蓄積しますが、その後Cs-137摂取をやめれば体内半減期は100日ですからほぼその期間で半分つづに減少していきます。
500日で1/32に下がります。1000日で1/1000以下になります。
4-6
それがSr-90の場合は一旦体内に蓄積されてしまうと、その後摂取をやめてもほとんど減りません。
50年でやっと半分になるだけで、ほとんどの人が体に溜め込んだまま火葬場や墓場に持っていくことになります。
一部は母子感染し赤ちゃんに移行する危険性があります。
赤ちゃんに移行したSr-90はまたほとんど減らず残留します。
良識ある専門家や市民などからPuや放射性Srが微量でも強く警戒される理由は
単体での毒性以外にこのような強い蓄積と残留が起こるからなのです。
4-7
以上説明してきたように、格核種の内部被曝の危険度は蓄積の度合いと一度取り込まれてしまった放射能の残留を考えたものになります。
以下は各核種を1Bqのみ摂取したときに、体内で崩壊する原子数(体内で発生する放射線の数)を比較したものです。評価では放射能半減期と体内半減期を考慮しています。
数が大きくなるのでCs-137を1とした比に表しました。
際立って高いのがSr-90の値でCs-137の70倍近くの値があります。(Sr-90は高エネルギーのβ崩壊のため崩壊エネルギーを考慮するとCs-137の200倍ほどの危険性がある。)事故の初期に大きく報道されたI-131は体内での崩壊数の数だけを考えればCs-137の7%くらいの数値です。
4-8
内部被曝による体内への影響をこの数字(体内で発生する放射線の数)で当てはめてもいいかもしれませんが、実際には核種により崩壊エネルギーが違いますから(α線は一般にエネルギーが高く危険。同じβ線でも高いエネルギーほど有害)
崩壊数に崩壊エネルギーをかけたものがより人体への影響をより正確に表すものです。
分かりにくいですが下の表の黄色の部分に注目してください。Cs-134は体内での崩壊数だけではCs-137の9割程度ですが、崩壊エネルギーの大きさを考えるとCs-137の1.6倍人体に作用することが分かります。Sr-90は体内での崩壊数だけで考えるとCs-137の70倍近い値でしたが崩壊エネルギーの大きさを考慮すると同じ1Bqの摂取でも175倍の危険性を持っていることが分かります。
4-9
人体への影響は他にもI-131(甲状腺に集中しやすい)、Sr(骨に集中)のように各人体部分
に集中することも関係しますし、人体の部位によっても影響を受けやすい部分等もあるので、
細かい有毒性を評価しようと思うとその試算は非常に高度で精密なモデル計算が必要となります。
一説では骨へのダメージは他の内臓器官のダメージの1/12程度とする試算方法なども存在します。
しかしこの評価はどこまで断定していいのか分かっていない部分が多く、今世間で使われている「実効線量係数」(特に経口摂取の場合)はあまりにも本来の数字からかけ離れたもので、作成過程、作成根拠どれもあやしく理解できないものです。
全く理解できない「実効線量係数」の奇妙さ
内部被曝がどのくらいあるかを算出する一番シンプルで分かりやすい考え方は
今まで説明してきたように体内で崩壊する放射能の原子数を算出し、
体内で発生する放射線の数を調べます。それに崩壊エネルギーの大小をかけて
体に与えるダメージを計るというものです。
ところが人体が受ける被曝による影響は厳密に評価しようとすると難しく面倒なところがあります。(人体が受ける放射線の影響は簡単に割り切れるものではない。とか
摂取された放射能は体に一律に影響を与えるものではない。とか)
そのため1Bqの放射能を人体に取り込んだときにどのくらい被曝するのかという計算を
簡単にするために「実効線量係数」という数字が使われています。
例えばI-131の吸引摂取(呼吸が原因)の実効線量係数は7.4×10^(-9)SV/Bqです。
もし、10000BqのI-131を吸い込んでしまった場合、その人がこれから50年間に被曝する量は
10000Bq×7.4×10^(-9)SV/Bq=7.4×10^(-5)SV=7.4×10^(-2)mSV=0.074mSVとなります。
実効線量係数という数字は被曝量を計算するのにBq数から簡単に算出できますから、
一種の便利なブラックボックス計算機といえるものでしょう。ネットの世界ではこの「実効線量係数」なる数字をほとんど受け入れて被曝量の計算をしていますが、本当に正しいのか考える必要があります。
実際この「実効線量係数」は私達の命や健康を預けるに信頼できる数字ではありません。
なぜか、経口摂取した場合の数字があまりにもおかしいからなのです。
具体的に見ていきましょう。
以下はICRPが発表した吸引摂取による実効線量係数と、経口摂取による実効線量係数の表です。(公益財団法人原子力安全研究協会データ、緊急被ばく医療研修より)
4-10
見てもらうと分かるように、経口摂取による実効線量係数は吸引摂取によるそれの1/3〜2.97倍になっています。(黄色の部分)
3倍前後はI-131とK-40の値でその他の核種は0.18〜0.95倍の間です。
ここで考えてほしいのですが、消化管から取り込まれやすいCsやSrは特に
吸引摂取より経口摂取の方が人体への影響がはるかにあることは直感的にも明らかだと思います。それなのに吸引と経口の差が最大でも3倍足らずにしかならず、
Cs-137やSr-89の値については1/3倍,すさまじい体内蓄積をもたらすSr-90になると1/5以下というのは全く理解できる話ではありません。
このような数字の奇妙さは他にもあります。軒並み低く設定されいる経口摂取の実効線量係数ですが(緑の部分)その違いを見ると、Cs-137を1としたときのSr-90の値は2.15でしかありません。
先で説明したように1Bqが人体に取り込まれた場合、体内で崩壊する原子数の数(放射線の数)を考えるとSr-90はCs-137の70倍多く、崩壊エネルギーの大小を考えるとその違いは175倍になることは先も説明した通りです。にも関わらずその違いが2.15倍でしかないというのは全く理解できる話ではありません。
核種によって人体への特定の部位への集積や濃縮にあるしてもこの違いは全く受け入れがたいものだし、そのような係数によって日本人の健康が簡単に計算されていることなどあってはならないことです。
日本の食物の内部被曝の問題が注目されていますが、
もし実効線量係数が一部でも恣意的な値であるならば、このような係数を採用するべきではありません。実効線量係数の真偽の再考も含め、食物の基準を決めるべきだし、そうすることができなければ安全を守ることはできません。
実効線量係数というブラックボックスに頼らず、被曝量を推定することはできないのでしょうか。
一般的に知られている自然放射性物質のK-40(カリウム40)のデータを参考に各核種からの被曝量を推測することができます。
放射性物質による内部被曝について述べていますが、原発事故があってもなくても私たちは自然放射能から被曝をしています。
このK-40がどれだけ体内にたまりどのくらい被曝を与えているか、非常に大切な知識なので説明します。
体にある放射性同位体で有名なのがラドンやK-40、C-14です。
K-40はカリウムの放射能同位体でK全体の0.0117%存在しています。
K-40の放射能半減期は12.8億年、体内半減期は30日です。
私達の体には全体で4000BqのK-40が体内に存在しています。その数字を元に1日のK-40摂取量を逆算すると91.4Bqになります。
その91.4BqのK-40は0.003475gです。
私達はK-40を1日におおそ0.0035gほど摂取し、常に人体には4000BqのK-40が蓄積して平衡しています。
成人大人(体重60kg)の人を例にとり、この人のK-40の人体への集積度は以下のようになります。
4-11
およそ200日後には4000Bq程度で平衡状態になり、これが体重に応じて持続していきます。
ここでK-40から受ける人体の被曝量ですが、約0.32mSV/年といわれています。
(原子力資料情報室、放射能豆知識より引用)
このK-40が人体の蓄積量が4000Bqで崩壊エネルギー計1.37MeV(β崩壊1.17MeV、γ崩壊0.2MeV)年0.32mSVという値は受け入れることにして
この値を元に各核種からの被曝量を推定します。
福島原発事故ではさまざまな放射能核種が放出されましたが、私達の考察では土壌に定着したBq比は原発からの方向で若干違いがありますがおおむね
I-131:Cs-134:Cs-137:Sr-89:Sr-90=12:0.87:1:3.7/100:2.6/1000と推測しています。
それらが食物を通して同じ比率で体に取り込まれた場合、体内にはどのように蓄積するかを予測したのが次のグラフです。どういうことかというと事故直後もし食物にCs-137が100Bqあれば、Cs-134は放出比に応じて87Bq、Sr-89は3.7Bq
Sr-90は0.0026Bqあるとするのです。この仮定は非常に理にかなっています。
事故直後は一般に調査される核種のデータはI-131や放射性Csに関するものがほとんどでした。これはγ線を出す放射性Csは比較的計測しやすく
γ線を出さないSrやPuは計測には時間が必要なためあまりデータがなかったのです。しかしデータがないからといってその核種がないということにはなりません。放出Bqがある程度分かっているのだから放射性Csが発見されれば、SrもPuもあるという前提で試算しなければならないからです。
計算の上では当然放射能半減期、体内半減期を考慮し、摂取されるBq数は放射能半減期と共に減少することを考えています。
今現在の食物のCsの暫定規制値は500Bq/kgです。2012年4月から100Bq/kgに規制が強化される予定です。
成人が一日に食べる食物の量は1.5kg〜2kg程度と言われていますから、ここでは一日に2kgの食物を摂取すると仮定します。
4月からの規制値は100Bq/kgですから2kgでは200Bqとなります。
一日に200Bqの放射能Csを摂取した人の体内放射能蓄積Bq量は以下のようになります。
4-12
上の表は事故後、放射性Cs100Bq/kgの食品を2kg食べた場合の体内への放射能の蓄積推移です。事故後10日後にはI-131が10000Bq以上一気に蓄積します。その後半減期の短さからI-131は摂取されなくなり、体内からは消えていきます。事故2ヵ月後には放射性Csの蓄積量がK-40を超えていき、Cs-134は300日後、Cs-137は600日後にそれぞれピークになります。この1年間ほどのスパンではまだ目立ちませんがSr-90の蓄積が時間とともに増えていきます。
4-13
K-40の体内蓄積量は4000Bqで年間被曝は0.32mSVでした。
上のグラフをもとに各核種による内部被曝量を推定してもいいのですが、
この体内残留Bq数に崩壊エネルギーを考慮したものがより正確なものになります。
各核種の崩壊エネルギーを考慮したのが以下のグラフです。それとともに格核種からの被曝量をK-40の値をもとに推定すると次のようになります。
4-14
4-15
表を見て分かることは、
Cs-137については毎年1msv程度の被曝を人体に与え
Cs-134については初年度はCs-137からの影響より高いものの
半減期の短さから2年目以降は下降していきます。
特徴的なのが、Sr-90の蓄積量と影響の大きさです。
初年度は蓄積もそう多くないため、大きな値ではありませんが、
15年もするともともと人体にある最大の自然放射能であるK-40の影響を上回ること
が分かります。50年もすると今まで最大の内部被曝の原因であるCs-137の値も上回る
ことが分かります。Sr-90のやっかいさとともにそれに対しての警戒感が少なすぎるというのは
このグラフを見ても分かると思います。
人体が影響を受ける内部被曝の影響を体内でのBq数と崩壊エネルギーから推定しましたが、
2012年4月から厳しくなるCsの食物基準である100Bq/kgですら、食べ続けると無視できない放射能が体にたまるのに、今までの暫定基準値である500Bq/kgがいかに緩和されすぎなのか分かると思います。
このような危険性が公にならず、ほとんど無条件で国民が受け入れられている現状は問題だと思います。
以下のグラフは暫定規制値ギリギリの食物を1日2kg食べ続けた場合の体内の蓄積Bq数の推移です。この試算は摂取量に放射性半減期の減衰を考えています。どういうことかというと、初日にCs-134を500Bq摂取するとしたら2年後には放射能の半減期を考慮して摂取量は250Bqに減るとするのです。
4-16
放射能核種にはすべて警戒しなければいけませんが、特にプルトニウムの存在についても心配だと思います。
保安院が発表した放出比から体内に蓄積するプルトニウムのBq数は以下のようになります。
4-17
プルトニウムはストロンチウムと同様に生理的半減期が50年と長く体内蓄積が強い核種です。
セシウムと比べれば放出比はそこまで大きくはないですが、30年以上の長い時間をかけて人体に蓄積していきます。
この蓄積度合いと崩壊エネルギー(Pu同位体のα崩壊エネルギーは5Mevとして試算)からプルトニウムの経口摂取による人体の内部被曝量を推測すると以下のようになります。その結果からはPuからの経口内部被曝は一年間で0.01mSV程度となりました。ただPuの毒性は経口摂取より吸引摂取の方が危険性あるとされており、Puへの警戒を緩めることはできません。
4-18
4-19
5.私達日本人にどんな健康被害が予想されるのか。
事故の影響を客観的・最大で評価し、対処することが事故の収束と地域の再生への早道である。
狭い日本の国土を思うと福島原発事故の被害がチェルノブイリ事故にまさに匹敵するものであろうというのは今まで見てきたデータなどから明らかなことであろうと思います。また初期被曝の危険性(I-131、Xe-133)がほとんどアナウンスされていないため
きちんとした評価を出すことが必要です。食物からの内部被曝の危険性については、明らかに評価方法に不備があるのは間違いないですから、きちんとした評価基準を打ち立てることが大切です。(続きはまた執筆します。)
以下震災後、2ヵ月後に作った。このサイトの前の内容です。
放射線量予測と被曝量計算をするために作りました。
この度の東日本大震災によって被害に遭われた方々にはかける言葉もありません。地震と津波によって未曾有の被害があったに加え、今回は福島原発事故の影響が日本全体に重くのしかかっています。この先の見えない原発事故のせいで日本は津波と地震の復旧に国力を集中できていません。また国内だけでなく国際的な関心も地震から原発に移り、地震と津波に向けられていた国際援助や同情心も先細りになってしまいました。ただでさえ遠い復旧への道のりがますます遠くなっています。この度の原発事故についてはあまりにも被害が大きく、放出された放射性物質の量も莫大なので、最終的な解決には世代を超えてかかるものでしょう。現在津波と原発事故の被害からの復旧を目指して、国力を結集した取り組みが日々続けられています。それと並行して毎日の報道や情報が膨大にあるので、それを整理し分析することが大切ですがなかなかできていません。そのためほとんどの皆さんに不安や恐れがあるのではないでしょうか?一様に「危険」とか「大丈夫」とか言われても、我々特に避難をされている方々やこれからしなければいけない方々にとっては納得できない話だと思います。毎日放射線量は細かく報道されていますがその数字にはどんな意味があり、そしてその数字から何を得ることができるでしょうか?
当サイトでは可能な限り文科省、東電、保安院等からデータを集約し、ある地点での放射線量と時間から @過去と未来の放射線量のレベルの予想と A事故からの累積被爆量の予想 B時間を区切った被爆量の予想を計算できる式やグラフを作りました。この計算式やグラフは原発周辺地域の方はもちろんのことありとあらゆる人にとって有用です。自分の地域や家族がどれだけの放射線にさらされているか?そしてその見通しはどうなっているのか?避難はいつまで続くのか?個人だけでなく地方自治体等の担当者にとってもこの式とグラフから得られる知識はとても大きいはずです。そして政府・マスコミ等からの情報を補完してくれるだけでなく復興や国の未来を考える上でとても重要なものになるはずです。
放射線量・被曝量の計算 (入力欄は最大4点です。誤差を少なくするには入力数を増やす方がいいです。また下にExcelのファイルも用意しました。)
この計算式は最大の放出があった2号機爆発の3/15を0日目としています。 放出された放射性物質はヨウ素131、セシウム134、セシウム137の3種類のみを考えています。式を作るときには事故以来発表されたほとんどすべての文科省の空間線量モニタリングデータや土壌の残留放射性物質データ等を調べ、数々の報道や発表を集約し、理論的に正しく組み上げて、式のパラメータを決定しています。その予測値は突出値でもない限り最大で±5%程度の誤差でおさまるように細かくパラメーターを補正・調節しています。またこの式は福島第一原発からの方向に関係なく、ほとんどすべての観測点でかなりの精度で近似できます。
(詳しくは式とグラフの正確さと誤差についてを見てください)
*観測点の線量が自然放射線にかなり近い場合(汚染地帯でない場合)は少しこの正確さもなくなります。
(これは自然放射線量を一律0.05μSV/h=0.438mSV/年と設定して計算しているためです。)
*事故後1週間ほどは特に原発南方向でグラフの予想値よりも高い放射線量が観測されています。これは南方向はI-131の放出比が高かったためと、式で考えていない短半減期放射能の存在が大きいためと考えられます。
また予想放射線量、予想放射被曝線量とも24時間野外にいたとしての外部被曝量になります(内部被曝・食物被曝は別)。実際は屋内にいるケースがほとんどですので、その場合、被曝量は少なくなります。評価の仕方はほぼ統一されており、木造家屋内にいる場合は野外の6割程度、コンクリート建物内にいれば野外の1,2割程度に軽減できると言われています。例えば、1日8時間が野外で16時間は木造屋内に滞在する場合だと24時間野外に比べて7割程度に軽減することができます。 1日8時間が野外で16時間がコンクリート建物内にいる場合なら24時間野外に比べて5割程度になります。またこの予想は新たな大量放出がないことを前提に立てられています。ですから、もし放出が新たに出れば、予想値にプラスされた線量や被曝量が実際に観測されると思います。その場合がもしあれば式を新たに立て予測値を補正する必要があります。そういうことが仮に起こってしまった場合にはできるだけ早く式を補正してページを更新します。また線量・被曝量とも短期的(1年)にはかなり正確に計算されますが、長期的には少し流動的な要素があります。詳しくは式とグラフの正確さと誤差についてを見てもらえれば分かりますが、これはセシウム134(半減期2.1年)とセシウム137(半減期30年)の放出ベクレル比をどう評価するかによって長期的な放射線量の減衰がかなり変わってくるためと、汚染物質の定着と拡散が評価できていないためです。私は私なりに理論的にセシウム134とセシウム137の比を評価し、計算に反映しています。
この度の震災と事故で苦しい思いをしている人々にとって、この式やグラフの成果がより正しい判断をする材料になることを心から祈っています。
この計算式をどのように作ったかについては→ PDFファイル(かなり専門的で、分かりにくいと思います。式・グラフの具体的中身や、パラメーターをどのように決定したかを載せています。)
・上とは別に観測期間を長くとり(3/15〜4/30)予測値を作りました。数値的にはほとんど変わりませんが、データ数を増やしたためにより正確になっています。これからモニタリング観測地点の数も増やしていこうと思っています。参考にして下さい。ポイントをクリックし、説明のリンクを開くとその地点の線量予想グラフ等がでます。
より大きな地図で 福島第一原発周辺の主要モニタリング地点(20km圏外) を表示
・福島第一原発周辺20km圏内のモニタリングポイントと年間被曝予想はこちら
Excelファイルのダウンロード
自分で計算する場合は、上の被曝量の計算をクリックして計算されれば、その地点での放射線量と被曝量が算出できます。しかし、自分でデータを分析する必要がある人もいるかと思います。そのような人のためにExcelファイルも容易しました。使い方は開いてもらえば分かりますが、ある地点での放射線量の測定値とその時間を入力すると以下のデータが別のシートに出ます。
- その地点での事故からの放射線量変化
- その地点での事故からの累積被曝量変化
- その地点での年間被曝量の変化
- その地点での自由に時間を区切った被曝量の計算
被爆量計算のエクセルファイル
データ入力の数は多いほうがより正確にでます。式は一つのデータに関して一つの計算値やグラフを返しますが、複数のデータを入力すれば複数の計算値とグラフの平均を返します。そうすることで、毎日の変動や測定誤差などで出るばらつきを少なくすることができます。誤差があまり問題にならない場合、入力は1つの測定データだけでも全く構いません。式はそれだけでも精度よく十分に計算することができます。入力欄の単位はμSV/h(マイクロシーベルト毎時)です。
NEXT: 式とグラフの正確さと誤差について
問い合わせ・・・hangglider@mail.goo.ne.jp